蒼闇、月は緩い。  4       












「ああ!い・・・やっ!」
小さな声で、ガクガクと振るえる口から漏れる言葉は、僅かに語気が鋭い。
これから貫かれるのだという恐怖がエドワードを余計に混乱させていた。
男女の行為すらにも興味もあまり無かった。性行為自体には多少の知識は有ったが、エドワードにとっては生体としての生殖行為と、生体錬成の為の知識として持っていただけだった。
年の割には、エドワードは女の子を好きになるとかいう感情は持たなかったし、身近な女の子のウィンリィは家族同様だった。
男同士のセックスは、旅するうちに小耳に挟んだことがあった。遠くの町で酔った大人に「小遣いをやろうか?」と誘われたこともあった。もちろんエドワードは一撃でのしてしまったが。
その時は、一体男同士だったら、男女と違ってどんな感じで、いったいどうするのだろうか?という幼い素朴な疑問しかなかった。


それが。

今の状況は。

男と男は食物連鎖だ。
特に自分のような子どもは格好の餌だと分かったのだ。
自分の小さな後穴。自分でだって触れることなど無い部分。単なる排泄の器官。そういう認識だった。
自分の後穴に、自分とは比べ物にならないほどの巨大で固い肉棒が入って来るのだ。
裂ける。きっと入口が。穴が。自分の体が。
裂けた時の痛みと、その後を想像してエドワードは真っ青を通り越して真っ白な顔になった。顔に血の気は無い。
ただもう恐怖心で怯えきって震えているだけ。



ロイ=マスタングは自分の足を広げ、指先でそこに触れているのだ。
「よくしてやろう」
と僅かに笑いながら。
ぐい、と男の大きな手が膝を掴んで押し広げた。そして彼はそこに鍛え上げた体を割りいれてきたのだ。
男の肉棒は大きく屹立し、先の部分はさらに大きく見えた。
怖い。怖い。コワイ。
こんなものを自分の穴に入れてどうするというのだろうか。
良くする、とはどういうことなのか。体が裂けるだけなのに。
それなのにエドワード自身は男の手によって変化しており、先からはまた蜜が零れだしていた。自分の意思とは裏腹に。
さっき無理矢理放たれた熱い白いものは腹に流れたままだった。
あの瞬間はなんともいえない開放感があったのには間違いないのだ。
嫌だ。嫌だ。イヤダ。
俺はこんなことを望んでいるんじゃない。
でも。
あのほとばしった白濁液はまぎれも無く自分の精なのだ。
雄が雄に翻弄されているのだ。俺はこんなものを感じたいんじゃない。
少年は男にごく淡い思慕のようなものは持っていると思っていたし、関係は悪くないという自覚はあった。行方不明の父親に彼を重ねていて、それが甘えや大きな態度や小生意気さとなって表現されていたのだろう。
それが大佐のカンに触ったのか。何故急に大佐がこんなことを始めたのか分からない。ともかくエドワードはがたがたと震えていた。

「鋼の」
男が膝を割りながら話し掛けた。
「君は」
そう言いながら、自身の前をさらに大きく寛げて腰が半分くらい出る程に軍服を下げた。
「強情そうだ」
男のそれには夜色の髪と同じ陰毛が見えていて、まだ幼いエドワードのそれとは対照的だった。
「それでも」
さらに男は続けた。
「私の支配下に置いてみるのも一興かと思って」
一呼吸おいて告げた。
「こうしている」
そう言うなりロイは己自身をいきなりエドワードの後穴に押し当てた。
「や・・・あああ・・・!」
エドワードは悲鳴をあげて、空いたほうの手を抵抗するように大きく振り回した。すると、それが男の髪を掠めて、頬に当たった。
「!!」
偶然当たったといえど、怒ったロイは、拳を振り上げてエドワードの顔面を殴りつけた。
ばし!ばし!という連続音がして、エドワードは顔を歪めて鼻血を出し始めた。整った鼻腔から、鮮血がじわじわと滲み出して来る様は、男をいっそう興奮させた。男の肉棒はもうこれ以上固くならないほどになっていたに違いない。
私の人形の癖に。逆らうというのか。
そうだ。
男の心はエドワードという人形に独占欲をもち始めていた。この金色人形は私のものだ。いつか旅先で、見知らぬ男に犯されるくらいなら、今ここで忘れようの無いほどに、この幼い肉体を貪り己の所有の証の刻印を刻みたい。私の体の中の熱はそうしなければ燃え尽きない。ロイはそう思っていた。
そして小さな後穴を慣らしてやることもせずに、ロイは亀頭部分をぐいと押し付けた。
「ア…や…ウッ…!」
無理矢理広げさせられる自分の穴の苦痛に、エドワードは呻き声をあげた。
じり、じり、とロイは侵入しようとする。それまで歯を食いしばって恐怖と苦痛に耐えていたエドワードが泣き叫び始めた。
「アウウッ!うえっ・・・やぁッ!」
「うるさい・・・っ!」
ロイはまた平手打ちを、今度はエドワードの尻に喰らわせた。びしっという鈍い音とともに尻に手形が残る位赤くなった。
そのはずみでエドワードは足を執務机にぶつけた。衝撃で机に乗っていたインキの吸い取り紙が何枚かがひらひらと宙を舞って絨毯の上に落ちてきた。
ロイはその紙を数枚掴むと、エドワードの口をこじ開け、口内にねじ込んだ。
「これで少しは静かにできるだろう」
「ふ、む、ウッ」
言葉にならない泣き声交じりの呻き声が小さく漏れてくる。ロイは満足だった。
そうして今度は自分の腰を沈めて、エドワードの腰を持ち上げた。穴が良く広がるように、と。エドワードは羞恥で頭の中が真っ白になった。だがロイにそんなことが分かる筈も無い。構わずロイは腰を進めた。狭い穴はロイの凶悪な肉棒を拒むかのよういなかなか緩まない。そんな状況に苛立った男は、今度は少年の二つのふくらみを空いた指先で揉み始めた。
「うっ、うっ・・・は・・・あぁ」
エドワードはまた意思とは裏腹に、そこに熱が集まるのを感じていた。もうどうすればいいのか。
男の残酷な愛撫は続いた。そうするうちに少年は穴が湿ってきたのを感じた。男の蜜と自分の穴の蜜。それらが潤滑剤のように滑らかな滑りを作り始めたのだ。自分の穴が広がるのをエドワードは感じた。男もそれを感じて一気に腰を進めた。亀頭部分がぬるりと入った。
「ん・・・ア・・・ウッ・・・!」
その瞬間、エドワードはそこが裂ける鋭い痛みを感じた。もし裂けた音がするなら、びきっ、と言う音がしたに違いない。生肌がびりびりと電気を伴うような痛みで裂けているのだ。エドワードは蜜とは別に生暖かいぬるぬるしたものが流れるのを混乱した頭で感じていた。
血だ。
――――出血しているに違いない。そこはずきずきと痛み、エドワードは苦痛にひたすら涙を零していた。
「…痛いのか」
男は局部をより密着させようとエドワードの腰を引く。エドワードは両足を掴まれてもう動けなかった。 男の為すままに貫かれていくのだ。
「これしきでへばってもらっては困る。まだまだ本番はこれからだよ?」
嘲笑いながら男はエドワードの耳元に囁いた。その声冷たくて楽しそうで満足そうだった。その声にエドワードは鳥肌が立った。
そして。ロイは大きな肉棒を前進させ始めた。容赦なく。
「う、う、う、」
涙と涎でぐちゃぐちゃになったエドワードは上半身を捻らせて悶え苦しんだ。助けて。痛い。痛い。イタイ。助けて。もうやめて。
ついにロイの肉棒がずい、と入りきった。奥の奥まで届いた肉棒。エドワードの穴は最大限に広げられ、裂けえているのが分かった。痛みが酷い。うめくエドサードを他所にロイは腰を律動させ始めた。何度も繰り返される動き。そのたびに走る電気のような鋭い痛み。時折ロイは体を屈めてエドワードの乳首を吸って口内で転がした。そのたびに意思に反して背中が反った。もうやめて。お願い。
「・・・?・・・ア」
男の腰の動きが変わった。今までは単一な動きだったのに、今度は奥を探るように強弱をつけ始めた。それはやがてエドワードの体内の敏感な部分に当たり始めた。
「あ?あ?や?」
エドワードは今まで感じたことのない痺れるような感覚に泣きながらも戸惑っていた。さっき放ったのとはまた違う。そこは擦られる度に体が頂点に上がるようで。痛いのにもっと欲しくて。
ああ・・・・おれ・・・狂っちまったんだ。こんなことされて。こんな気分になって。助けて。おかしい。ヘンだ。もっと。アソコが熱い。何だか溜まっていく。出したい。また出したい。でもいやだ。助けて。でも欲しい。欲しいよぉ。
熱はどんどん高まり、そしてついにエドワードは快楽の声を上げ始めた。
インキの吸取り紙から漏れる声は嬌声だった。途切れ途切れに小さな声では有ったが、まぎれもなく快楽の声だった。
「鋼の。初めての割には感じるんだな。君のその声はなんとも淫靡で美しい」ロイは嬉しそうに耳元で囁く
「はッ・・はッ・・はッ・・・んん」
.』ロイの声に返事をすることもできないエドワードはただ声と快楽の涙を流すのみだった。そうして。ロイが律動を激しくし始めた。 彼の額には汗が浮いている。この熱いのに肌を密着させているのだから。
そしてひときわ大きな動きとともに、ロイの肉棒が自分の穴で大きくなったのを感じた。その瞬間、ロイはエドワードの中に精を吐き出していた。
「は・・・はぁ」
エドワードもロイも息粗くなっていた。執務室の温度は上がっていたに違いない。
やっと解放される。エドワードは痛む後穴にロイを受け入れたまま安堵の息を漏らした。だが。さらに凶悪な言葉が男から零れた。
「次はうしろからさせてもらうよ、鋼の」



続く

05 12/24UP    まだつづきます。師匠、すいません!




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