蒼闇、月は緩い。  5       











デスクの脚に縛られたままの右手を緩めもせずに、ロイはエドワードを裏返しにかかった。エドワードは、ロイの手が自分の肩や腰を物でも扱うかのように、荒っぽくぞんざいに転がすことに耐えていた。
つい30分ほど前までは、大佐は普段と同じだったはずだ。自分の何がいけなかったのだろうか。何がこの男の機嫌を損ねて怒らせて仕舞ったのだろうか。天才、と言われる頭の回転をもってしても大人の欲望の機微は少年であるエドに分かる筈もない。ただもう。怖くて。時間が過ぎることをひたすら祈って。
絨毯の上に肩膝をついて、男は少年の機械鎧の方の脚は、そのままズボンから半降ろしにし、もう片一方の生身の脚をズボンから抜き取りにかかった。エドのブーツもいとも簡単に脱がされてしまった。裸足にされ、引き下ろされた下着から現れた臀部は、まだまだ少年の引き締まった小さなものであり、男の掌にすっぽり納まってしまいそうな位だった。程よい弾力と、その奥の谷間に見え隠れする桜色の秘部が幼げで痛々しかった。
ロイはその尻を鷲掴みにして引き上げた。動物の足を掴んでぶら下げるかのように。
「あっ、やっ、も、なに・・・する・・・」
エドワードはうめいた。それでももし、この場に中尉や少尉たちが来たら、と思うと自然と声も小さくなった。ロイがいった言葉が頭をかすめる。
『彼らは私の部下で、ここでは誰も君を選ばない』そう、自分はここでは男の言いなりになってこれ以上の逆鱗に触れないようにするしかないのだ。がくがくと怯えで体を震わせ、口にねじ込められた吸取り紙は、きちんとした言葉の呂律を許さず、「・・・ふ、ッ、うっ」と白痴のように意味をなさない。金色の目からはなみだが溢れていた。
「・・・よくするのさ。君が少しでも楽なようにね。さっきのだって気持ちよかっただろう?どうだい、鋼の。」
男の言葉は残酷ではあったが、開放される瞬間の気持ちは否定できない。
エドワードはそんな自分を激しく恥じて嫌悪していた。そして心の奥底ではそれをもう一度望む自分がいたことには気付かなかった。
ロイはエドワードの四肢を床につかせてよつんばいの格好をさせた。犬のような自分の姿の姿を想像して、羞恥で体が燃えそうなくらい熱くなった。男への恐怖と先ほどの痛みと羞恥で膝がぶるぶると振るえるエドワードは、狩猟者であるロイををおおいに満足させた。
尻穴からは、先ほどの鮮血がひとすじふたすじと、体液と一緒になって内腿を伝って流れ出してきた。よくみれば、少年の穴の周辺は痛みの疼きで脈打っているのが見てとれた。
そんなに痛いのか。でも、君がこんな目に会うのが、ここ私の執務室であって感謝したまえ。
だってそうだろう。治安の悪い地方の旅の安宿で、あやしげな薬を盛られてオモチャのように輪姦されるよりは、はるかに君のためになっているはずだから。
「君は、今までこんな目に会ったことは無いのかね?それとも遭いそうになったことも?」
「・・・っく、やぁ」
返事も出来ないエドワード。
察するに、危ない目に遭ったことは遭っても、その場から逃げ出せば済んだ程度だろう。だから本格的に教えてやろう。私はとても慈悲深い、そうだろう、鋼の。
縛られた手は不自然に捻れて、手首をギリギリと締め上げ、少年は「痛い、痛い」と涙を流していた。
「ふむ。この程度で君ともあろう者が涙を流すとは」
この程度で泣かれたのでは困る。ロイは動物を調教するかのように四つん這いになったエドワードの周りを歩いて見せた。それが一層少年を怯えさせた。未知への経験は脅えから始まる。エドワードの反応は実に正しかった。そして義足側の片足に残ったままのズボンが、一層哀れな痛々しさと、煽情的なマゾヒティズムを醸し出していた。これらの光景はロイのサディティズムを大いに刺激した。ロイは軍靴でエドワードの尻をにじってみた。じりりと。
「い・・・たッ!」
苦痛で少年の顔が歪んだ。
「あっ・・・ひ、やっやぁ」
嫌がる少年は恐怖で震えながらも抵抗しようとする。ロイに頭を床に押さえつけられ、腰を高く上げさせられ、尻肉を爪あとが残る位掴まれて広げられているのだ。
「もう、もう、お願いだからゆるしてぇ・・えっく・・・ひっく、たいさぁ・・」
そして、さらに。出来るだけ、腰を高く上げさせ、頭は床につく位下げさせて。絨毯を舐めさせたっていい。脚は大きく開かせる。鮮血まみれる秘部が開ききる位までに。ほんの少しでも指でひろげれば彼の直腸内まで見えそうだった。
どうだ。素晴らしい光景じゃないか!これ以上の哀れで、美しいものがあるというのかね?ロイはすっかり興奮していた。
ことの起こりは男としての生理現象を感じ始めていた時に飛び込んで来た金色の獲物。
少年がいつものように平然と服を寛ぎさせたことからだった。
何度も言うがこれは彼の所為だ。無知に与える快楽という極上の罰なのだ。

「それでは、きみのうしろからさせてもらおう」
男はにやりと笑うと己自身をさっきより十分に取り出した。男のそれは大きく、はちきれんばかりに屹立しており、エドワードの目には凶悪な鉄棒とおなじに思えた。ロイが亀頭部分をエドワードの菊座にあてて、なでるように何度も動かす。それはいたくはない。だがそのたびにエドワード自身から、彼の意思に反して、ぬらぬらした液体が零れだしてくるのだ。
「どうだね、きもちよいのだろう。体は正直だ」
そして後穴もロイの生暖かい、ゆらんだ液体で湿っていくのが分かる。ロイは何度も何度もそれを繰り返した。焦らすように。弄ぶように。時折耳元で「感じているのだろう」と囁いて。そして。
「・・・ア!!」
エドワードが小さく叫んだ。
ロイがいきなり指を3本エドワードの中に侵入させたのだ。
「っ・・・いた・・・も、も、も、や・・・ァァ」
指でエドワードの内壁を掻き回し、彼の感じやすいところを探っていた。何度も何度も執拗に。
「はッ・・はッ・・も・・・う・・・」
そしてロイは指をじりじりと引き抜くいた。エドワードの口からは涎がたれていた、眼はとろんとしてレイプされているのを忘れているかのようだった。
それを見て取ったロイは、今度は己の肉を尻穴にねじ込んだ。
「アッ・・・ッ!」
指とは違う。エドワードには焔で熱く焼かれた鉄を生身に突っ込まれたような激痛だった。体がもうめちゃくちゃにさけそうだった。内臓がよじれそうだった。それでもロイはそんなエドワードを無視して、黙ったまま腰を進めていく。
男が腰を前後させる度に、エドワードに激痛が走った。
「ふッ・・・あ・・・う・・・」
そして男は空いたほうの手でエドワードの睾丸と自身を掌に収め、快感を与えていく。やがてエドワードは自身を握らされることになった。上に重なったロイの手が有無を言わさずエドワード自身を擦りあげさせる。自分で自分を擦り上げる感覚。目眩がしそうだった。
エドワードは恐怖と痛みが支配するなかに、次第に高まりを感じてきた。エドワードにとっては高まりは罪悪感と同じだった、こんな目に遭って、こんな風に弄ばれて、それでもなお高まりがやってくるのはどうしてなのだ。さっきロイによって無りやる出された白濁の精液が、また出口を求めているのだ。いたいいたい。いやだいやだ。出したくなんか無い。もういやだ。心の中でどれだけさけんでも体は何と正直に出来ているのか。熱い塊が一点に集中し始め、男の突き上げる肉某がエドワードの快楽点を性格に突き上げ、もうたまらなかった。嫌だ、でも出したい。出したい、でも嫌だ。葛藤と本能と理性と羞恥と罪悪感と快楽と。あらゆる感情がエドワードの中に渦巻いた。
そんなエドワードの僅かの変化を男は見逃さなかった。桜色の秘部がひくついて内部が熱くなっているのだ。これは彼が感じ始めた証。もっと求めようとするしるし。背中をぴったり密着させて耳朶を舐め、淫靡な言葉を囁き、飽いた手で乳首と乳輪を弄び、腰は律動を激しくする。強弱をつけて彼の奥を探し当てて、感じさせてやるのだ。事実、エドワードは相当に感じ始めていた。
「あ、っふ、やっ・・あ、う、あん・・」
レイプされているというのに、エドワードは今は与えられる快感に溺れるしかなかった。ロイの逆鱗に触れるよりはこの方がよい。そしてなにより、エドワード自身がのめりこんでいったのだ。
男が握るエドワード自身に熱が集まるのが分かる。もう出したい、出させて欲しい。
「たいさ・・・おね・・・が・・・もうっ」
エドワードは知らぬ内に懇願の言葉を口にしていた。早く出させて。ロイは「いい子だ。わたしもそろそろ君の中に出させてもらうよ」
そう言うとロイはエドの中に灼熱の肉某を最奥の突起に何度か擦りつけると、エドワードの腰をぐいと引き付け、大人の熱を一気に放った。


荒い息が聞こえる。二人とも汗びっしょりだった。

しばらくは密着していた二人だったが、ロイは身を起こすと、ズルリと生々しい音がして、ロイ自身がエドワードの尻穴から取り出された。ロイが放った瞬間、生暖かい液体が大量に流れ込んでエドワードはその気持ち悪さ吐きそうになっていた。
「う・・・え・・・ッ」
「吐きそうなのか」
エドワードは泪目で頷くしかなかった。
そしてそれは今はよつんばいのエドワードの尻穴から血液とともに、じゅくじゅくと微かな音をたて手はいるがまだ彼の外には出てきていない。足元にはエドワードの黒い上着。初めの吐精で彼の上着は二人の精液がたっぷり零れたなんともいえないものになってしまった。
ロイは満足げにそれを眺めると、エドワードの戒めを解いてやった。口に押し込んだ吸取り紙も取ってやった。両手が自由になって一発くらい殴られるかと思ったが、エドワードは何も言わなかった。彼は性を開放してしまったことへの強い罪悪感を感じているのだ。他人の手によって、そしてそれによって例え嫌な感情が混じっていたといえど、感じるようになってしまって。気持ちよくなったのはまぎれも無い事実なのだから。エドワードはこの上なく惨めだった。
床に落ちたブーツを拾う。半分ぬがされてしまったズボンを引き上げて、濡れてしまった下着を穿いた。それでもエドワードはノロノロと身支度を整えると、床に落ちていた吸い取り紙で大まかに拭くと、また上着を着込んだ。
「暑くないのかね」
ロイの質問にも答えなかった。ロイはそれを黙って満足そうに眺めていた。

「・・・鋼の。未知の体験はどうだったかね。君にまた知識が一つ増えたな」
ロイはもう当に軍服を直して何事も無かったように静かに話し掛ける。執務室は普段どおりになっている、何も変わってはいない。変わったのは男と少年がこの部屋でレイプ同様の激しい情交を交わしたということだけだった。
エドワードは何も言わない。
「ああ、そうだ。これをきみに」
ロイはポケットから金属性の細くて小さいものを少年に投げた。少年は受け取ると、掌のものとロイの顔を交互に見た。
「それは私の家の鍵だ私はもうひとつ持っているから、気が向いたら来るといい。」

「おれはあんたん家なんかにいかねーよ」
エドワードがそっぽをむいたまま蚊の鳴くような声でポツリと落とした。
しばらく沈黙があった。夏の日差しはまだまだ強かった。そうしてやがてかれは、初めはゆっくりと扉を開け、司令部室の誰とも目を合わせずに、、そしてついに走るようにして、涙を零しながら、どこをどう走ったのか、東方司令部を後にしたのだった。


「ふむ。この部屋は空気を暮れ変えないといけないな。ハボックあたりに知られそうだ」

ふ、と微笑を浮かべると、ロイは窓にもたれて煙草に火を付けた。燻らす煙が少年の精液の臭いを思い出させるように。




続く


05 03/28 UP 03/29加筆   まだつづきます。師匠、すいません!




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